更新日:2019/11/24
IoTやビッグデータ、人工知能(AI)、ロボット、シェアリングエコノミーなどのイノベーションをあらゆる産業や社会生活に取り入れ、さまざまな社会課題を解決する「Society 5.0」の実現に向けた政府施策。2016年9月から2017年6月まで10回にわたり開催された「未来投資会議」での検討内容を取りまとめたもので、2017年6月9日に閣議決定された。「Society 5.0の実現に向けた改革」との副題が付けられている。
≪文書内リンク≫
・日本経済再生本部
■2019年の各種計画 ※「未来投資戦略」という言い方ではなくなった
◆未来投資戦略2018 ─「Society 5.0」「データ駆動型社会」への変革─(H30.6.15閣議決定)
【教育関係抜粋】
第1 基本的視座と重点施策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
(1)「生活」「産業」が変わる
① 自動化:移動・物流革命による人手不足・移動弱者の解消
② 遠隔・リアルタイム化:地理的・時間的制約の克服による新サービス創出
画質や音質が飛躍的に進歩したIoT 技術により、これまで地理的な制約で提供することができなかった新しいサービスの提供が可能になる。例えば、交通の便が悪い地方の住民や子育てに忙しい都市部の住民が、大きなコストを払うことなく必要な医療や教育のサービスの提供を受けることができる。
(2)経済活動の「糧」が変わる
(3)「行政」「インフラ」が変わる
(4)「地域」「コミュニティ」「中小企業」が変わる
(5)「人材」が変わる
第4次産業革命の技術革新により、人間がこれまで行ってきた単純作業や反復継続的な作業はAI、ロボット等が肩代わりし、3K 現場は激減する。そうした中、「人生100 年時代」にふさわしい多様なリカレント教育と、デジタル技術を活用した個別化学習、遠隔教育などを通じ、AI 時代に対応できる能力を身につけることにより、老若男女を問わず、あらゆる人々に、やりがいや、よりキャリアアップした仕事を選択するチャンスが与えられる。
(1)データ駆動型社会の共通インフラの整備
① 基盤システム・技術への投資促進
② AI 時代に対応した人材育成と最適活用
AI 時代には、高い理数能力でAI・データを理解し、使いこなす力に加えて、課題設定・解決力や異質なものを組み合わせる力などのAI で代替しにくい能力で価値創造を行う人材が求められることに鑑み、教育改革と産業界等の人材活用の面での改革を進めるとともに、「人生100 年時代」に対応したリカレント教育を大幅に拡充する。
・2020 年度からの小学校でのプログラミング教育を効果的に実施するため、教材開発や教員研修の質の向上を実現するとともに、無線LAN や学習者用コンピュータなどの必要なICT 環境を2020 年度までに整備すべく、地方自治体における整備加速を支援していく。
・義務教育終了段階での高い理数能力を、文系・理系を問わず、大学入学以降も伸ばしていけるよう、大学入学共通テストにおいて、国語、数学、英語のような基礎的な科目として必履修科目「情報Ⅰ」(コンピュータの仕組み、プログラミング等)を追加するとともに、文系も含めて全ての大学生が一般教養として数理・データサイエンスを履修できるよう、標準的なカリキュラムや教材の作成・普及を進める。
・先端的なAI 人材の育成のため、工学分野における学科・専攻の縦割りや、工学(情報等)と理学(数学、物理等)など学部等の縦割りを越えて分野横断的で実践的な人材育成を行う「学位プログラム」を実現するべく、大学設置基準等の改正を行う。
③ イノベーションを生み出す大学改革と産学官連携
第2 具体的施策
Ⅰ.「Society 5.0」の実現に向けて今後取り組む重点分野と、変革の牽引力となる「フラッグシップ・プロジェクト」等・21
Ⅱ.経済構造革新への基盤づくり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・95
[1]データ駆動型社会の共通インフラの整備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・95
2.AI時代に対応した人材育成と最適活用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・101
(1)KPI の主な進捗状況
(2)政策課題と施策の目標
(3)新たに講ずべき具体的施策
ⅰ)大学等におけるAI 人材供給の拡大
ⅱ)初等中等教育段階におけるAI 教育の強化
・平成32 年度から全ての小学校でプログラミング教育を効果的に実施するために、来年度から教員が教材や指導方法等に習熟できるよう、
未来の学びコンソーシアムの活動等により、全国の教育委員会や学校、企業等と協働して、ポータルサイト等を活用しながら教材開発や教員
研修の質の向上を実現する。
・教科等や児童生徒の習熟度等に応じた指導、学校経営等の抜本的な改善には、AI やビッグデータ等を学校現場等で活用(EdTech)することが有効であり、EdTech の具体的な方法等について事例創出や実証研究を行うとともに、EdTech の効果的な活用及び学校現場等のニーズを踏まえた技術・教材開発・普及のためのガイドラインを策定する。
・無線LAN や学習者用コンピュータ等の必要なICT 環境を平成32 年度までに整備するため、昨年末に示したICT機器の整備方針に基づくICT
機器の機能等や効率的な調達方法、わかりやすく「見える化」した各市町村等の整備状況等について教育委員会だけでなく首長等に対し
て周知するなどにより、地方自治体における整備を加速化させる。
・学校のICT 環境のクラウド化を推進し、授業・学習系システムと校務系システムの安全な連携手法を来年度までに確立する。
・AI 活用のための基礎的な素養を身に付けさせるため、日常生活や社会との関連を重視した実践的な統計等に関する内容やデータサイエン
ス等に関する内容の大幅な充実など、学習指導要領の改訂を全国の学校現場で着実に実現する。このため、e ラーニング等による効果的な
教員の研修や教材の充実、外部人材の活用等に取り組む。
・より高度にプログラミングを学びたい児童・生徒等が「地域ICT クラブ」や中学・高校のパソコン部などの「部活動」等において、性別や障害の有無を問わず、継続的・発展的に学ぶことができる環境づくりを進める。
・女子生徒等の理系分野への進路選択を促進し、AI を含む先端的な分野等における女性の活躍を推進するため、全国の地方公共団体・学校等
における多様なロールモデルの提示、女子生徒を対象とした出前授業などの取組を行う。
・グローバルサイエンスキャンパスなどの理数系に優れた素質を持つ子供たちの才能の更なる伸長を図る取組を充実するとともに、情報オリンピックなどの科学オリンピックで優秀な成績を収めた高校生などの特に卓越した資質能力を有する者に対し、AI などの先端分野について学びを進め、更に資質能力を高める機会の提供などの取組を行う。
ⅲ)産業界におけるAI 人材等の育成・活用の拡大
ⅳ)官民コンソーシアム等による産学連携教育の具体化
・課題解決型学習やインターンシップ等の実践的な産学連携教育のノウハウ等の共有等により、教育界と産業界が連携した実践的な教育を横
断的に機能させるため、産業界と大学、高等専門学校、専修学校の代表などを構成員とする官民コンソーシアムにおける取組を夏までに本格的に稼働させる。
・官民コンソーシアム等では、産業界におけるAI・IT 分野の人材ニーズを共有し、大学等におけるAI 人材の育成に係る取組の充実を図る。
また、企業等における処遇等につながるポイントや事例等についても共有し、AI・IT 分野についての学生や従業員の学びを促進する。
・産学連携教育に対する企業の協力を引き出し、大学と企業とのマッチングを行うシステムの構築など、産学連携した教育の仕組み等につい
ては、官民コンソーシアムの議論を踏まえて、大学協議体や専修学校の人材育成協議会において検討し、具体化する。
ⅴ)大学等におけるリカレント教育等を活用したAI 人材等の裾野拡大
・大学や専修学校等における社会人向け短期教育プログラムや放送大学、MOOCs 等を活用したオンライン講座などのリカレント教育を大幅に拡
充するとともに、リカレントセンター等の設置や教育能力も含め質の高い実務家教員の確保、専門職大学院と産業界との連携構築など、大
学等でリカレント教育を行う体制を整備する。
・専門実践教育訓練給付について、専門職大学等の課程を対象とするとともに、大学の「職業実践力育成プログラム」や専修学校の「職業実
践専門課程」、AI・IT 分野等の「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」等と連携し、AI 時代に求められる能力等を身につけさせるため
に対象講座の拡大を図る。
・サイバーセキュリティ人材について、行政機関等の情報システム担当者を対象とする「実践的サイバー防御演習」や若手の育成、情報系・
制御系に精通した重要インフラ・産業基盤等の中核人材の育成に取り組むとともに、IoT 時代のソフトウェア・仮想化技術によるネットワ
ーク運用人材に関する育成プログラムを来年度までに完成させる。
3.イノベーションを生み出す大学改革と産学官連携・ベンチャー支援
◆未来投資戦略2017 ―Society 5.0 の実現に向けた改革―(H29.6.9閣議決定)
《KPI》授業中に IT を活用して指導することができる教員の割合につ いて、2020 年までに 100%を目指す。 ⇒2015 年度:73.5%(※2014 年度:71.4%)